MARK ===> EURO
  • ドイツに来てから7か月、やっとドイツマルクの額面の価値感覚に慣れたころ、2002年1月1日ユーロ通貨の流通が始まった。これまで銀行取引の決済などにしか利用さていなかったが、いよいよ市中に出回ることになった。その歴史的瞬間に立ち会えたことは幸運である。実際にどのようにマルクからユーロに替わっていったのか?簡単である。いつも買い物をするお店ではマルクで支払い、ユーロでおつりをもらうだけである。そのうちマルクは財布の中から姿を消すのだ。銀行ではもうユーロ通貨を受け取ることしかできない。ユーロ通貨になってしばらくしてから、「ドイツ滞在の記念にマルク紙幣が欲しいな。銀行で聞いてみよう。」と思い、窓口で交渉するも、そっけなく首を横に振られた。知り合いや友人などに聞いてみたが、硬貨くらいしか持っていないということだった。ユーロが流通して1週間でほとんどマルクの姿は見かけなくなった。新聞によれば1月3日時点(流通開始後たった3日間)で8割がユーロ通貨での支払いになっていたそうである。

    Gauss

  • ユーロが流通し始めて、手元にある真新しいユーロ紙幣やコインを眺めながら、「やっぱりどうしてもマルク紙幣が欲しい!」という思いが強くなってきた。ついこの間まで簡単に触ることができたマルク紙幣がいつの間にか姿を消した。マルクからユーロに替わるという事実は理解していたつもりだが、急になくなると俄然寂しい。加えて私の欲求心に火をつけたのが10マルク紙幣の肖像画である。ドイツマルク紙幣にはどれも著名な人物画が描かれているが、10マルク紙幣はドイツの偉大な物理学者ガウス(Carl Friedrich Gauss(1777-1855))であった。電子工学や物理を学ぶものにとって、その顔を拝んでおくことは意義深い。学生に見せなければ・・・。どこかで手に入れられるはずだ。

    1月半ば過ぎ、心当たりを付けたミュンヘン市内の日本食料品店の日本人のおばあさんにそれとなく尋ねてみた。「何枚かあるからいいですよ。」との返事。「ラッキー!」

  • マルクとユーロの換算は固定レートで1EURO=1.95583DMとなっている。すなわち、ほぼ2DMが1ユーロなので買い物するときはそれほど頭を使うことはなかった。日本円に換算すると1ユーロ120円ほどで、アメリカドルとほぼ同じである。EU圏内ではイギリスなどを除き、全てユーロ通貨が利用できるのでEUに暮らす人々や観光客にはとても便利である。しかし、同じ商品でも国によって値段にかなりの差があるものもある。EU内でもドイツは全般に値段が高く、社会問題にもなっている。新聞によれば、ドイツで30000EUROのBMWの新車を北イタリアで17000EUROで買って、ドイツ国内で大もうけしているというディーラもいるそうだ。