豊田工業高等専門学校 電気・電子システム工学科
 固体エレクトロニクス研究室 及川グループ

 豊田工業高等専門学校 電気・電子システム工学科 固体エレクトロニクス研究室 及川グループ

 豊田工業高等専門学校
 固体エレクトロニクス研究室 及川グループ

豊田高専及川研究室

研究概要

はじめに

 私たちの研究は ''超伝導エレクトロニクス'' と呼ばれる分野です。超伝導体の特徴の一つであるジョセフソン効果をデバイスに応用することを目的に研究を進めています。超伝導デバイスは現在主流の半導体のデバイスをはるかに凌駕する性能を有しています。しかし, 実用化にはたくさんの課題があり, それを少しづつ解決していくことが表向きのモチベーションです。面白いからやっているのがホンネかも。
 本研究室では超伝導体の作製, 微細加工から測定評価を一貫して行います。そのためには,様々な実験装置を直接扱うため,様々なスキルが身につきます。某大学のビッグラボのようにはいきませんが, 最低限の結晶作製, 微細加工, 極低温冷却装置, 測定機器といった研究環境は整っていますので, やる気や運次第で素晴らしい成果をあげることが可能です。また, 実験結果だけでは理解できない現象も多くあります。そこで強力なツールとなるのが数値計算(シミュレーション)です。物体内部の様子など実験的には測定不可能な物理量を, 市販の安価なPCを用いて予想, 計算することができます。
 以上のように本研究室では, 実験と数値計算の両方を用いて, 超伝導体を用いた次世代の新領域デバイスの開発を行うべく, 研究を進めています。一緒に楽しく研究してみませんか?

研究キーワード:超伝導,量子現象, 高周波電磁波,カオス,数値計算,微細加工

» 超伝導現象に関してはこちらから

» ジョセフソン効果に関してはこちらから

» 具体的な過去の研究テーマはこちらから

すこし具体的に

  • 未開拓周波数のテラヘルツ電磁波発振及び検出デバイス
    超伝導体に電圧を生じさせると,超伝導体内部の量子効果により交流電流が流れ,その周波数は未開拓なTHz帯域です。その交流電流を用いてTHz波発振及び検出デバイスへの応用が可能です。超伝導THzデバイスの実現に向けて,電場,磁場,温度分布,電流分布,同期現象など様々な手法でアプローチしています。

  • カオスを用いた乱数発生デバイス
    超伝導体に電磁波を照射すると,完全にランダムな物理現象であるカオスが生じます。カオスを応用することで高品質な乱数発生デバイスに応用可能です(実は現在,社会で使われている乱数は再現できてしまいます)。また,不思議な図形が現れるので視覚的にも楽しいだけでなく,理学的にも興味深い現象です。主にコンピュータを用いてカオス現象を解析しています。

  • 超伝導単結晶の作成
    超伝導デバイスを作製するためには,超伝導体の単結晶が必要です。超伝導体を作製する際の温度条件や原料の配合比を最適化し,良質な単結晶を作製することを目指しています。また,作るだけでなく,結晶構造,組成比,超伝導特性から良質性を定量的に評価しています。

  • 自動測定システムの構築
    一般的に大量の実験データを統計処理すると,そのデータは信頼性が高いと言えます。そこで,コンピュータと各種計測装置を制御し,自動計測システムを構築しています。このシステムによって人為的ミスなく大量のデータを高速で取得することができます。楽するために頑張る研究だとも言えます。

  • 微細加工技術の確率
    超伝導デバイスは超伝導体をμmオーダーに微細加工して作製します。いくら手先が器用でも手作業では不可能なサイズの加工です。そこで,光,化学,真空,プラズマなどの特徴を上手に使い,微細加工を可能としています。日々,効率の良い加工技術を模索しています。


その他

非線形物理現象の数値解析
微細加工用プラズマの制御と評価
高熱流プラズマの2D粒子シミュレーション
超伝導コースター作製(デモ用)
液体窒素を用いたおもしろ実験の開発(小学生用)

ロゴマーク

 卒業生が作成してくれました。本研究室だけでなく, 本校の超伝導関連の研究室が「チーム豊田高専」という単位で活動していることを示すものです。発表用のスライドやポスター等に使用しています。2つの丸はクーパー対をイメージし, 極低温をブルー系の色で表現しております。また, 切り込みは SuperconductivityのSを表しています。今後は他高専の方とも協力し, NITTC(豊田高専)をNIT(高専)に変更していきたいと考えています。