超伝導現象
(※平易な解説を心掛けたため正確性に欠ける部分があるかもしれませんが, ご了承ください。)
一般的に物質を冷却していくと, 超伝導状態に変化(相転移)します。例外はありますが, ほとんどの物質は超伝導状態になると言っても過言ではありません。超伝導体特有の現象には大きく次の4つが挙げられます。
- ゼロ抵抗(完全導電性)
- マイスナー効果(完全反磁性)
- 磁束の量子化
- ジョセフソン効果
これが最も有名でしょうか。通常の常伝導体では, 電子が運動するときに正イオンによって乱されます。これが電気抵抗に相当します。超伝導体中では電子2つが結合し電子対(クーパー対)という新しい粒子として振る舞うことによって, 正イオンの影響を受けず, 電気抵抗がゼロになります。この性質を使うことで, 無損失の送電ケーブルや強力な電磁石に応用できます。
2つの磁石のS極とS極(またはN極とN極)が反発する性質を使って磁石を安定して浮上させることができるでしょうか?そう簡単にはいきません。超伝導体は磁束を内部から完全に排除する性質(完全反磁性)があるため, 磁石のS, Nどちらの極でも超伝導体と反発します。これによって安定して浮上が可能となります。これがマイスナー効果で, ゼロ抵抗の性質からは説明できない超伝導特有の現象の一つです。
超伝導体でできたリングの中に磁束を入れようとすると, 決まった磁束(磁束量子)の整数倍の磁束しかリング内にはいることができません。このように磁束が離散的に振る舞う現象を磁束の量子化と呼びます。これは超伝導リングが超伝導状態を保つためにリングに電流を流し, 内部の磁束を自ら調整することによって生じる現象です。磁束量子は質量のない粒子と見なすこともでき, 非常に高速に動作可能なためコンピュータ素子などに応用可能です。